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【インタビュー・アート】「あいちトリエンナーレ2019」豊田会場作家インタビュー/紹介 2019.8特集

いよいよ8月1日から開幕した「あいちトリエンナーレ2019」豊田会場に作品展示をしている作家さんたちにお話しを伺いました。

各作家のプロフィール、作品概要等はこちら

あいちトリエンナーレ2019

 

高嶺 格 1968年鹿児島県生まれ 秋田県拠点 展示会場:豊田市美術館、旧東高校

takaminet.com

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―今回 豊田市で作るということ、また あいちトリエンナーレ2019キュレーターの皆様と作品を作ることについてのお考えをおしえてください。
 まずは能勢さんですけどね。今回僕が関わっているトリエンナーレの関係者は津田さんも含めてネアカな人ばっかりな気がします。今回の作品は建築物のようなものになるんですが、そもそもこのプランが出たのも、通ったのも、周囲のネアカさと関係あると思う。うちのチーム編成は建築系(土木系?)で、実現に向けみな非常に前向きです。市の職員の方もとてもサポーティブです。モノがシンプルで、皆が想像する作品の最終形態に誤差が少ないせいもあるかもしれません。(そういえば2010年に参加したときもネアカな人だらけだった気がしますが)
―今回作品が展示される場所が廃校のプールということですが、どのような視点でその場にされたのか教えてください。
 設置作業が7月で暑いだろうなあと。で、プールに設置すれば泳ぎながら作業できるぞ!と思ったのがきっかけです。アホと思われるでしょうけど。でもお客さんが水着に着替えて水中で鑑賞する作品って楽しそうでしょ?僕は水泳部だったし夢は大いに膨らんでいたのですが、安全上の問題などで水は張れないことになってしまった。ええーっ!てなりましたがそのとき何回か下見に行ってすでにプールに愛着が沸いていたので、ここでなにかしようと。
―秋田では高校生クリエイティブキャンプなど若者との活動をされていらっしゃいますが、若者ならではの視点で地方の文化資源やおもしろさを再発見するということは、どのような魅力がありますか?
 昨年の高校生クリエイティブキャンプで大賞をとったチームが長野の高校なんですが、すごいパワーでした。ハッチャケ方がハンパない。「近頃の若者はスマホばかりいじって元気がない」と思い込んでいたのですが、意外といるもんだなと。あるいはチャンスさえあれば開花する子なんていくらでもいるのかも。こういう高校の引率の先生はだいたい生徒以上に楽しんでいるから、そういう「目立つ子をちゃんと目立たせる」こ


とのできる先生と組めたら面白いことができるんじゃないか?中学や高校で「いちばん面白いやつ」っていますよね。彼らを芸術系に引き込めるかどうかは大事。芸術が、魅力的な進路のひとつとして彼らの目に映ることで状況は相当面白くなると思います。


和田 唯奈 1989年岐阜県生まれ 東京都拠点 展示会場:豊田市駅下、シティプラザ

お絵描きのお家

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 「しんかぞく」とは「進化属」であり「新 家族」であり「真 家族」でもあり、様々な意味を持つ、新しい形態の家族の形として動き出したアートコレクティブ。元々は和田さんが開いていたお絵かきのお家という私塾で開催した「しんかぞく」展から始まった。「家族」をテーマにした「しんかぞく」展はアーティスト自身が作品を身につけ、展示しながら移動するという移動展示場や、「絵が家になる」「絵と家族になる」「絵で家族になる」など通常の絵画を壁にかけるという展示とは一味もふた味も違っていた。
 今回は「しんかぞく」だけでなく、友人のアーティストやエンジニア、BGMクリエーターなども参加し、「まるで遠方に住む親族も集まったみたいなチームができた」と和田さんは明るく笑う。「今回の展示は、大きなテーマが「子守り」なんですよ。お客さんが『レンタル赤ちゃん』っていうアトラクションをやるんです。お客さんがしんかぞくが産んだ赤ちゃんを子守するんです。30分くらいのコースで、印刷された絵を「赤ちゃん」として子守していくんです。すごく大きく言うと、子守をみんなでシェアすればいいんじゃないかっていう発想で。でもやっぱ長屋を作るっていうのとかだと今からだと難しいから、一個の発想としてお店みたいに、新しいアトラクションみたいに演出してお客さんにやってもらう、体感してもらうっていう気軽な子守りです。気軽に子育てを手伝う、みたいな発想からきてます!」
和田さんの「しんかぞく」展のステイトメントにあるような「拡張をめざし、情緒をいだく、共同体、家族という絵画」はこの豊田の地でどのような「赤ちゃん」を生み出すのだろう。 

しんかぞくの皆さんの自己紹介
●しんかぞくの先生
・和田唯奈(キュレーター・アーティスト)
画家です。アムステルダムのGalleryDelaiveに所属しています。2年半前、ちいさな絵画教室「お絵描きのお家」をひらきました。1年前、そこに集った生徒と「しんかぞく」というコレクティブをつくりました。生徒はみんなかわいいです。わーい

●しんかぞくの生徒

・青山果歩(アーティスト)
茨城県うまれ。東京の氷屋さんではたらきながら、もっと寒いところへ行くべく奮闘中。「カップはよくて、なぜ絵はだめなのか?」お気に入りの日用品を愛でる気持ちと、絵を見てよい!と思う気持ちの間にはなにがあるのか、探るために制作している。病めるときもすこやかなるときも、ごはんが好き。

・大山奈津子(アーティスト)
絵は独学でしたが、学びたくなったのでお絵描きのお家に参加するようになりました。自然の摂理や、物事の本質、神秘現象について考える事が好きです。そのような事を絵で具現化できるようになりますように。ウロウロしがちですが、好きなように生きていきたいです。

・半坂 優衣(アーティスト)
東北芸術工科大学洋画コース所属の2年生。
主に自分や周囲の人間の気持ち、思考などを、丸みを帯びた生物で表現する作品を制作。現在はとある音楽グループにお熱でしんかぞくの活動や大学との両立のために日々奔走している。

・星ヲ輪ユメカ(アーティスト)
1996年12月12日生まれ。「私を縛るモノすべてをブチ壊す絵を描いていく」をモットーに活動中。自身の経験から子どもやアダルトチルドレンを題材にすることが多い。また、孤独を感じる人の居場所になれるような作品作りを目指している。スタンドが使える。12月に東京都で個展予定。

・繭見(アーティスト)
自死に纏わることを描いたり作ったりしています。和田さんの「お絵かきのお家」とあわせて今年度から新芸術校で勉強しています。最近はモーモールルギャバンと茹でたキャベツにはまっています。ペットの猫(うなぎ丸)と鳥(真田丸、小柚丸)が可愛くて仕方ない。

・宮田奈々(アーティスト)
1998年3月6日生まれ(ミケランジェロさんと同じ誕生日)。幼少期から絵を描き続け高校進学とともに本格的に絵画を描き始める。卒業後は独学で制作をしつつ2017年から活動をし始めた。今は日本を出てアメリカでは作品を発表するのが目標なので英語を勉強中。

・よしだ智恵(アーティスト)
幼少期の頃から絵を描き続け、美術系の高校・大学を卒業し、さらにはカナダに1年留学を経験した。以前は銀箔・硫黄・墨という日本が伝統技法を使い、黒い花を描くという渋い作風だったが、しんかぞくに出会ってから様々な素材を使った作品を展開し、新たな表現を模索している。

・藤本友紀(お手伝い)
「今年2019年3月頃、新家族に出会う。あいちトリエンナーレ展示では新家族のお手伝いとして参加。現在美大予備校にて修業中。」アートとは程遠い妥協した人生ーーー自ら手繰り寄せ、生き様自体をアートに近づける事が今年の目標です。今回、『新家族』のお手伝いができて本当に光栄でした!

●しんかぞくの叔母さん

・BeBe(アーティスト)
しんかぞくのおばさんとして参加しています。子守りの可能性を拡げようとする今作に参加したのは、私自身が今、親の介護に関わりつつある、命のエネルギーが向かう方向は違うけれど、子守りと介護には共通する部分が有ると感じているからです。「人の成り立ち」に興味があって作品の制作を続けています。

●しんかぞくの叔父さん

・石井翔(エンジニア)
VR・ARエンジニア。情報処理推進機構より未踏スーパークリエイターに認定されている凄腕技術者。こまんべの大学の後輩。

・こまんべ(エンジニア)
芸術動画のエンジニア。普段は美術集団カオス*ラウンジのアトリエに住んでいて、たまに展示にも参加している。和田さんとは同い年。

・TM(エンジニア)
「共同体とは今何なのか」、実験的な創作を行なっている和田さんとしんかぞくを応援するエンジニアおじさんです。8ミリのホームムービーで実家の家族を結びつけてくれたエルモ社(名古屋、元職場でもあります)も協力してくれました。生まれ育った愛知で芸術に関わることができて嬉しいです。

・ワンフレーズ・ポリティクス(楽曲制作)
シゲル・マツモトと弓塲勇作によるグループ


アンナ・ヴィット Anna WITT 1981年ヴァッサーブルク(ドイツ)生まれ
ウィーン(オーストリア)拠点 展示会場:豊田市民ギャラリー

 アンナ・ヴィットさんはオーストリア拠点の現代作家。今回、あいちトリエンナーレの豊田会場では、過去の作品に加えて、今回のために制作した新作を豊田市民ギャラリーに展示する。

制作は豊田市に住む自動車関連会社で勤務する市民とのワークショップを元に行われた。豊田市といえば自動車産業。豊田で働く人たちによる要素や意見、表現が取り入れられ、豊田市を象徴する作品となっている。労働とはなにか、豊田市で働くとはどういう事か、改めて考えさせられる。途中、仕事でのルーティンワークを太極拳風に、というアンナさんの振りに戸惑う皆さん。市民との交流を深めつつ、制作現場には和やかな雰囲気が流れていた。
アンナさんは、豊田市民の印象について、参加市民の方々が想像以上にオープンで、クリエイティビティな事に驚いたと話している。

参加者 安藤 卓児さん
 アンナさんの制作を貫いていたのは彼女の基本姿勢である人間への信頼に基づいた、労働への賛美とそれに伴う身体性への社会彫刻家としての透徹した視線だった。映像作品制作の過程で彼女のガイドのもと行われた行為を参加者自身が主体的に推し進めて行く中で、解放された参加者が自然と芸術家として自らを再定義し、パフォーマンスや演奏を行いだした姿は生きた芸術が機能する稀有な瞬間であり光に満ちていた。

参加者 古澤 直也さん
 私が、今回のプロジェクトに参加したきっかけは、社内の知人からの紹介です。
世界的に活躍するアーティストと一緒に作品創作するプロセスに関われたり、作品として自分の姿が残る貴重な経験ができると思い参加しました。
作品創作では、アーティストだけではなくメンバーから「こうしたら面白くなるのではないか」とか「この動きは繊細で綺麗だよね」などの意見が沢山出て、みんなで一つの作品を作りあげている実感が湧きました。
ディスカッションでは、「労働とは何か」「未来の労働はどうなるか」を話し合い、メンバーそれぞれの意見や考えを共有できて労働に対する価値観が変わりました。
作品がどのように仕上がるのかとても楽しみです。

 

トモトシ 1983年山口県生まれ 東京都拠点 展示会場:豊田市駅

今回、あいちトリエンナーレのトモトシさんの作品はとよトリ隊に届いたメールから始まる。
豊田市のみなさま、はじめまして。
今年の8月からスタートする「あいちトリエンナーレ2019」出展作家のトモトシです。
ぼくは豊田市駅のすぐ下の会場で作品を発表します。
突然ですが、先日、作品を作るため会場の土を掘り起こしていたところ、とても古びた食器らしきものの断片を発見しました。「ここに何か埋まっているかもしれない。」ぼくは直感でそう強く感じました。しかし、豊田市によると、これは遺跡ではないとのことでした。そこで、まだ諦めきれないぼくのこの身勝手な思い込みを晴らす手助けをしてくれる豊田市民の方を募集いたします。当日、万が一のために、考古学の専門家の方をお呼びして土掘りの仕方をレクチャーしてもらいながらすすめます。
なお、土掘りのプロセスは映像記録として撮影し、あいちトリエンナーレでその様子を展示させていただく予定です。以下の趣旨をご理解いただける方、心よりお待ちしております。」
 トモトシさんはその場と人々を観察するアーティストだ。その場にいる人々を通してその場のもつ公共性の不思議なひずみを映像にする。今回、展示会場にて事前に発掘ワークショップを行い、それを映像化することによって豊田ならではの「ひずみ」がどのように浮かび上がってくるのか。いつも見るものがクスッと笑ってしまうような、トモトシさんならではのシニカルな作品から目が離せない!