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TAP/とよたアートプログラム

【インタビュー・アート】とよたデカスプロジェクト2019採択事業「Teen’s WANT VOICE」「○△▢の神話」「アート維新」 インタビュー 2019.9特集

近年「アートプロジェクト」という言葉をよく聞くようになりました。現代美術用語辞典によれば、アートプロジェクトとは「作品そのものより制作のプロセスを重視したり、美術館やギャラリーから外に出て社会的な文脈でアートを捉えたり、アートを媒介に地域を活性化させようとする取り組みなどを指す」とあります。

豊田市においても、豊田市内で行うアートプロジェクトを支援する「とよたデカスプロジェクト」が2011年よりスタートしました。これは補助金支給ではなく応募・プレゼンにより採択された事業に賞金を交付するというこれまでの行政的施策とは少し違うプロジェクトです。

「地域住民や関係者との連携しながら、事業の企画立案から実施まで総合的にマネージメントできる人材の発掘と、応募者自身が実践をつみながらスキルアップを図ることを目的として」いるとよたデカスプロジェクトの2019年度採択事業より、近々で開催される事業3組にお話を伺いました。

 

Teen’s WANT VOICE ~校内放送を通じた魅力発見・発信~

Teen’s WANT プロジェクト実行委員会は10代をターゲットとしたラジオ風番組を企画・制作し、市内の学校において校内放送を実施します。

TAP:豊田で活動することについてどう考えていますか?

松永:良くも悪くも”WE LOVEとよた”が浸透してきていると思います。でもそれに市民がついてきているかと言われるとそうでは無い。それを10代を中心に見つけて繋げられたら。

義務教育が終わって、高校・大学になると、才能を生かせる人はみんな県外に行ってしまって、淘汰されてしまうんです。

豊田市で1番いい時間を過ごせる時って今は中学高校時代だと思います。レールに乗った感じの人が多いなと感じるので、それにもっとつけ加えるような事ができたらいいなと思います。

辰巳:僕も名古屋の私立高校に通っていたので、豊田市の友達がいるんですけど、彼らから聞く豊田市の像と実際に豊田市に来てみての像がだいぶ違っていて。出身が岐阜なので郊外みたいな地域が好きなので、その地域の中高生を活発化しようという活動もしています。
環境や体制が整っている豊田市だからこそ、ここから出来ることってあると思います。その活動を同じ学生として色々盛り上げて行けたらいいなと思います。

 安藤:自分の高校の周りの人は動けばすごいんだろうな、と思う人が結構いるんですが、なかなか自分からは動こうとしない。それを動かして行けたらいいなと思います。

 松永:デカスの交流会には出たりしているんですが、実際にイベントとか出てみると自分のが終わればいい、という気持ちがやっぱり強いと思うんですよ。
絵画とか全然知らない身なんですけど、実際に色々行ってみたいと思っていますし、それが僕達の目的なので。とりあえず、今は自分たちの活動をやって行ければと思います。

 辰巳:そもそもこのプロジェクトの目的が、若者が知らないことを知っていける場があると良いよねという目的なので。そのために僕達自身がが知らない事を知っていく事が1番大事なんじゃないかなと思ってます。そういう過程で色々な事をやって行けたらいいなと思います。

 TAP:今後の展望について教えてください。

 辰巳:やっぱり僕は市外に住んでいるので、どちらかというと豊田市ということでは無くなってしまうんですけど、色んな地域の人が別の地域に行く事が、その地域とまた別の地域の活性化に繋がると考えています。

なのでおいおいは、豊田市でデカスに関わってくれている人達を名古屋でなにかさせたり、名古屋の人たちを豊田市で何かをさせられたり、何かそういう関わりを、市の公共事業をつかってやったよ、っていう名目を作りたいと思っています。

 松永:豊田とは別の地域から来ている方とお話をしていて、こういう考え方もあるんだという…すぐ言葉にできるものでは無いですけど、感覚の違いなどを感じました。
そういうものってやっぱり豊田市に住んでいるだけでは分からない。
じゃあでも、どこかに行こうとかではなくて、テレビ電話もできる時代だし、そういうつながりでもいいので豊田市にいながら作れる、全然違うジャンルの人と関われるプロジェクトになればいいと思っています。

TAP:全然違うジャンルとは具体的には?

辰巳:この企画自体が、何か1つのジャンルでということではなく、どのジャンルにいても応用がきく、1つのプロジェクトだと思っています。この企画を活用して色んな人々が1つの発見みたいな事が出来ればと思います。

 

〇△▢の神話-豊田~愛知~大阪~日本- 旧豊田東高校

豊田市外の若手作家らが豊田市のリサーチを行い、8/11〜13にかけて市民との協働による大型絵画を制作する※。完成した作品は10/12〜13に展示されると共に、作品に関連した“火まつり”を行う。
TAP:豊田で活動する事についての思い、豊田市の印象を教えてください。

ー我々は大阪で2016年から活動しているんですが、地域で活動する事にシフトしていこう、という時にたまたま豊田市の公募を見つけて、応募しようと思ったのが発端です。正直 愛知とか豊田市に思いがあるということはなくて。実際に地域に入ってから色々考えようというスタンスです。
また、あいちトリエンナーレという祭典に何かコミットできないか、という理由もあります。地域に入って、色々なエッセンスを注入して、作品を作ろうというのが1番の目的ですね。
関西で活動をしてますが、色々な場所で人々に心の変化を与えられるのを楽しんでいるメンバーでもあるので、そういう目的もありますね。
TAP:実際に豊田市民と関わってみてどうですか?
ー実際来て下さる方はトリエンナーレの次いでに来た方が多い印象です。市民の方との交流はまだ薄いのでこれからですね!
TAP:豊田の固定な印象はありますか?
ーベタな所でトヨタ自動車とか笑 6月にリサーチに来させて頂いたんですが、駅周辺トヨタ車が多いな〜という感じです。
でも実は豊田市はこれだろうと思ってるものがあります…!
炮烙山(ほうろくさん←松平地区にある山らしい。)という山がありまして、頂上に21世紀の城というものがあるんです。ひまわりの形をモチーフにした塔が立ってるんですけど、ぜひ行ってください笑
実は豊田市、ひまわり、夏、太陽というエッセンスを、今回かなり意識して取り込んでいます笑
(皆さんTシャツやカバンがひまわりだったりTOYOTAに関連するパターン)
我々が豊田市に入ることによって新しい輪郭が見えて来たら嬉しいです。
​TAP:今後の展望を教えてください。

今回のワークショップで作った作品を大阪に持ち帰ります。
それを加筆して、10月のハイブリッド文化祭に展示します。
我々はパワーがあるものをモチーフに選んでいる傾向がありまして、その中のひとつに「火」があるんですが、文化祭の方で「火」を使ったパフォーマンスをやりたいなと思ってます。
実は今回の作品は2作目なんですよ。1作目は火を炊いて燃やす所までをプロジェク
トとしてやりました。ですので、今回も火祭りですとかそういった企画を文化祭で行いたいと思ってます。

 

とよたの木材・廃材でアート作品を飾る オリジナル額縁をつくろう!<アート維新>
豊田市内の山林(惣田地区)/つくラッセル 他 
私たちのプロジェクトの内容は豊田市の森について知り、その木材や廃材などを使ってオリジナル額縁をつくります。額縁に飾るのはプログラムに参加するアーティストといっしょにつくる作品。出来上がった額縁と作品は最終的に小さな展覧会で発表します!
◇1回目:9月21日(土)
豊田市惣田地区内 アーティストと森を歩く
-僕らの街の“知らない”を知るー豊田市の農山村地域(惣田地区)にて森歩き。
◇第2回目:9月29日(日)
*会場は調整中 想像力と発想力を鍛える
-知るから創造へ  “知ること”を味方につける-材料を知ったら、どんなふうに自分のつくりたいものをイメージするかについて、発想を膨らませるワークショップを行います。
◇第3回目:11月10日(日)
つくラッセル つくろう!世界にたったひとつのマイ額縁!-創造が僕らと世界を繋ぐ-
イメージした額縁をアーティストといっしょにつくり、作品を飾ります。
◇展覧会は12月を予定。詳細は鋭意企画中。
■参加費:1回目~3回目通しで2,000円(1回参加1,000円)

TAP:豊田市で活動する事に対する思いを教えてください。
ー私たちはみな、同じ会社で「自動車」という製品をつくりあげるために仕事をしています。会社の中にはさまざまな部署があり、多くの人たちが知恵や力をあわせています。また、自動車にはさまざまなパーツが使わています(小さなネジまで含むと約3万個!)。
  私たちはこうした多くの人やパーツの1つ1つがなくてはならない大切な存在だと感じますが「豊田市」という街にも同じような感覚を持っています。多様な人たちが暮らし、森や川や田んぼといった豊かな自然と先進的な都市部が共存している街・・・豊田市を構成する1つ1つが宝物だと感じます。私たちは豊田市という場所での活動を通じて、そんな宝物の魅力を改めて実感していけたらステキだなと考えています。
TAP:今後の展望(豊田市内外どちらでも)を教えてください。
ー私たちは次の2つを活動の大きな柱としています
  ①トヨタでアートを変える
  ②アートでトヨタを変える
①は、みんなが好きなことをして生きていける社会を妄想しています(笑)。
ちょっと大きな理想なのですが、人は好きなことをしているときには時間も忘れて夢中になれます。どんなに辛いことがあっても、負けずに進んで行きたいという勇気や力も湧いてくるのだと思います。
誰もが好きなことをして生きていける社会になれたら・・・(生きていけるというのは生業として食べていけるということです)。
ただ残念なことに、あまり好きなことを生業にして生きていけるケースは少ないように感じます(私たちにはそう思えました)。
そこで、例えば若手のアーティストが作品を創作してそれが生業となるような世の中になったら、社会はもっと魅力的になるかも知れない、そんな理想が実現出来たら・・・と大きな妄想をしてみたのです。
じゃあ、やってみようよ、ということでチャレンジしたのが社内で開催されたビジネスコンテストへの応募。コンテストには若手アーティストの作品購入を支援する仕組みを提案しています。
結果は・・・優勝は逃したものの、一定の評価を頂けました。
今後はこうした若手アーティストの支援をしていけたら、と考えています(今回のデカス参加プログラムにも、その想いが反映されています)。
②は、会社にアートの可能性、力を取り入れて変化の速い世の中に対応出来る人材育成をしていきたいという活動です。まだこちらはアイデア模索の段階ですが、有志にVTSというアート鑑賞メソッドの体験会を実施し、手ごたえを得ている状況です。
こちらも、今回はあまり参加出来ていないアート維新のメンバーが鋭意検討中です。
TAP:今後の具体的な活動スケジュールを教えてください。
ー今年も昨年に引き続き、社内にビジネスコンテストにエントリーする予定です。
また、今回のデカスプロジェクト参加で繋がりの出来たアーティストのみなさんと何かいっしょにアイデアを考えていけたら・・・とも考えています。
まだまだ模索中ですが、メンバーのアイデアや知恵をいろいろなみなさんとの交流の中で磨いていきたいと思います。
これからも、どうぞ私たちアート維新の活動に注目して頂けたら嬉しいです!

 

※とよたデカスプロジェクトとは豊田市の魅力を市内外へ発信するためのアートプロジェクトの企画案を募集し、実現をサポートする事業です。詳しくは

とよたデカスプロジェクト | TOYOTA DECASU PROJECT まで

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