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【コラム】さよなら2013年、良いお年を! 岩松あきら

 現在、三河映画「Ben-Joe」の制作に精魂を傾け続けている岩松です。TAGのスタッフの方から、テーマは自由でいいので何か原稿を…というお話でしたので、徒然なるままに原稿を書かせて頂きます。

 今回は、映画鑑賞について少々書いてみます。私の大好きな監督の一人にスタンリー・キューブリックという監督がいますが、彼はあるインタビューで「映画の制作者は、傑作を観るより駄作を観た方がいい」と言ってます。確かに名作を観ると感動はするものの、制作意欲がガクンと落ちたりします。こんな素晴らしい映画をつくれる監督がいるなら自分なんかが映画をつくらなくていいんじゃないか。ええいっ、もう映画なんか一生つくらないで鑑賞だけしてやる。そんな気分になります。その一方、つまらない映画を観ると、俄然、制作意欲が高まってくる。こんな映画だったら、自分がつくった方がましだって、偉そうな気分になる訳です。

 まもなく2013年も終わり。そんな訳で、私を感動させるとともに、凹ませてくれた、2013年のベスト5を発表!

1)「風立ちぬ」監督:宮崎駿

2)「舟を編む」監督:石井 裕也

3)「清洲会議」監督:三谷幸喜

4)「かぐや姫の物語」監督:高畑勲

5)「テッド」監督:セス・マクファーレン

 長編の映画制作をするようになってから、めっきり映画鑑賞の本数が減ってしまったので、何であの作品が入ってないの? と思われる方もいるかと思いますが、ご容赦ください。宮崎駿監督の引退もありましたが、今年は何と言ってもジブリの年でした。1位と4位は、70歳以上の宮崎・高畑両監督が若者に負けない瑞々しさを詰め込んだ作品。ただただ感服。三谷映画は、デビュー作の「ラジオの時間」以外はつまらないというのが私の意見でしたが、「清洲会議」でようやくやってくれました。2位は、「おくりびと」が好きな人にはお勧めの小品。5位は、愛らしいぬいぐるみが主人公なのに、R指定されている国が多いという下品さが素晴しい。

 最後に、2013年、私を退屈させるとともに、やる気にさせてくれたのは、「ヒッチコック」「映画 謎解きはディナーのあとで」…といった作品。よしっ、2014年も映画「Ben-Joe」の制作、がんばります! みなさん、良いお年をお迎えください。

松あきら

映画監督。高校時代より自主映画を撮り始め、これまでに国内外の様々な映画賞を受賞。2011年初の長編「幸福な結末」を三河映画として製作。

三河映画facebookページ https://www.facebook.com/Benjoe.movie